ジプシーバンド、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの成り立ちからライヴ映像、メンバーのインタビューなど、内容がとても充実してる、DVDとCDのセットです。
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初めてルーマニアのクレジャニ村を訪れた時、まだ「タラフ・ドゥ・ハイドゥークス」という名前を「タラフ」とだけで、全部覚えていませんでした。もちろんCDも持っていませんでしたし、メンバーも知りませんでした。
映画の中で見て印象的でしたが、特にジプシー音楽というものに惹かれて訪れたわけではありませんでした。

そんな私が、ジプシー音楽の凄さを知ったは、ルーマニアのクレジャニ村で、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの演奏を生で聞いた時です。ものすごいキレのある音と勢い、言葉では語れない歴史と感情の渦。まるで事故の後遺症のように、自分の中に残ってしまったのです。

学生時代に、フジコ・ヘミングのコンサートへ行ったことがありますが、フジコ・ヘミングは、聴覚の大部分を失っているために、彼女の感情の高まりとともに、だんだんと他の演奏者と音がずれて行きました。しかし、そのずれが何とも言えず、感動した記憶があります。ジプシー音楽の良さを例えるならば、その時に感じた、美しさに近いような気がします。

ただ、ジプシーの音楽は、個人の表現というよりも、民族の音楽であり、彼らの数百年もの歴史が詰まっているように思えます。
それは美しく見せよう、上手く演奏しようとするものではなく、親子代々音楽とともに苦しみを乗り越え、音楽とともに喜びを分かち合ってきた、ジプシーならではの音楽です。

上記のDVDに出てくる、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのメンバーは、デビューして、他のルーマニア人よりもたくさん稼ぎますが、あっと言う間に無くなってしまい、私が訪れた時も暮らしぶりは変わっていませんでした。最初は、そのことが理解できませんでしたが、今ではそれが、彼らの生き様で、だからこそ奏でられる音があるのだと、感じています。